2024
不室屋様 パッケージデザイン
製造会社:株式会社 加賀麩不室屋
毎田仁嗣作
金沢の老舗"不室屋”様の定番の詰め合わせ商品「宝の麩」と季節限定商品「干支小箱」のパッケージデザインを担当しました。
「宝の麩」|2024
「宝の麩」シリーズより「折々」「みそ好み」「おすまし好み~青かえで~」の3種のパッケージデザインを担当させていただきました。
金沢の名所や情景をモチーフに、加賀友禅の感性を活かした構図と配色で構成しています。受け取った方の心に残る、やわらかで品のあるデザインを目指しました。
<宝の麩 折々>
兼六園の豊かな自然と、水辺をゆるやかに泳ぐ鴨の姿を描いたデザインです。長い歴史と静寂を感じさせる庭園の佇まいの中に、やわらかく命の気配が溶け込むような情景を構成しました。木々の緑と水の静けさが調和し、季節の「折々」に寄り添う穏やかさを感じていただけるパッケージです。

<宝の麩 みそ好み>
金沢城のお堀に舞い落ちた桜の花びらと、静かな水面に浮かぶ鯉の影をモチーフにした春の情景です。水面は無数の桜の花びらで埋め尽くされており、そのわずかな隙間からは澄んだ青空が映り込んでいます。水面の下をゆったりと泳ぐ鯉の姿は、揺れる花びら越しに淡く見え、幻想的な雰囲気を演出しています。散りゆく花の美しさと、水に映る空の静けさが調和した、どこか懐かしくやさしい春の情景を表現いたしました。

<宝の麩 おすまし好み~青かえで~>
尾山神社の印象的な門を背景に、傘をさして歩く着物を着た女性の後ろ姿を描いたデザインです。雨に濡れた石畳にたたずむ姿からは、金沢らしいしっとりとした情緒が感じられます。青を基調とした澄んだ色合いが全体を静かに引き締め、落ち着きと品格を添えています。日常の中にふと現れる詩情を大切にした仕上がりです。

「干支小箱」|2019-2025
このシリーズは、毎年の干支をテーマにした季節限定商品で、贈り物やお年賀としても親しまれているお品です。当工房ではそれぞれの干支が持つ象徴的な意味や、日本らしさを重ね合わせながら、加賀友禅の技法と感性をベースに、より柔らかく親しみやすいデザインを構成しました。
伝統的な加賀友禅の繊細さや色彩美はそのままに、かわいらしさや遊び心を感じられる表現を意識することで、幅広い世代の方々に楽しんでいただけるよう工夫しています。干支の動物たちが生き生きと描かれたデザインは、新年の晴れやかな気分を盛り上げるとともに、贈る人の想いをさりげなく伝えてくれます。
<巳年|2025>
柔らかな黄色を背景に、梅の花とともに描かれた金の蛇は、復活や再生、そして知恵や金運を象徴する存在です。静かに佇む姿の中に内に秘めた力強さを感じさせるデザインで、節目の年に新たなスタートを切る思いを込めています。落ち着きと優美さが共存する構図です。

<辰年|2024>
富士山と太陽を背に天へと昇る青龍が目を引く新年らしいひと箱です。辰は十二支の中で唯一架空の聖獣であり、力強さや成功・飛躍を象徴する存在です。希望に満ちた新年の幕開けを祝うにふさわしい、華やかで躍動感のある構成に仕上げました。

<卯年|2023>
満月と波を背景に、跳ねるうさぎを描いた構図です。うさぎは飛躍や希望の象徴とされ新たな可能性へ向かって一歩を踏み出すという思いを込めました。ふんわりとした薄紫の色調とリズミカルな構図が、明るい未来への期待をやさしく表現しています。

<寅年|2022>
朱色を基調に、竹林の中でじゃれあう小虎を描いたデザインです。小虎のかわいらしい姿に、新年を健やかに過ごしてほしいという願いを込めました。和やかな構図と素朴な表情が温かみのある印象を添えています。

<丑年|2021>
柔らかな緑を背景に、紅白の梅の花に囲まれた子牛の姿を描いたデザインです。牛は誠実さや努力の象徴とされ、新たな命の芽生えと、着実な繁栄への願いが込められています。牛にも梅の模様が入っており遊び心のあるデザインとなっています。

<子年|2020>
鮮やかな黄色を背景に、松と雲に囲まれた白ねずみを配した構図です。ねずみは繁栄や子孫繁栄を象徴する縁起の良い存在。加賀友禅らしい繊細な色使いと丸みのある表現で、親しみやすい印象に仕上げました。
<亥年|2019>
優しい桃色の背景に、富士山と雲の間を駆ける親子の猪を描いたデザインです。猪は無病息災や勇気の象徴とされ、新しい年への力強い一歩を感じさせます。柔らかな配色と愛らしい表情で新年の温かみを表現しました。

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