加賀友禅 毎田染画工芸

2025

BAUS加賀様 加賀友禅パネル

毎田仁嗣作

歴史ある土地に息づく、加賀友禅の彩り | 2025‐2026

加賀藩前田家の下屋敷跡地に誕生した「BAUS(バウス)加賀」。歴史と文化の記憶が息づくこの場所に、加賀との繋がりを感じていただけるよう制作いたしました。
今回制作したのは、桜・イチョウ・ブドウそれぞれを題材とした、三種の加賀友禅パネルです。それぞれ異なる空間に設置され、その場所に合わせた情景や空気感を表現しています。
加賀友禅ならではの繊細な彩色や柔らかなぼかしを取り入れながら、現代建築に調和する表現を目指しました。光や視線の移ろいによって表情を変え、日常の中にさりげなく四季の移ろいを感じていただける作品となっております。

加賀友禅ガラスパネル「桜」

桜をモチーフとした本作は、BAUS加賀近くを流れる石神井川の風景をもとに制作いたしました。
春になると、石神井川沿いの遊歩道にはソメイヨシノが咲き誇り、川辺一帯がやわらかな桜色に包まれます。その地域に根付く春の景観を、住まいへと続くアプローチ空間へと繋げるイメージで構成しています。
作品では、満開の桜が川面に映り込む情景と、頭上から枝垂れる桜の流れを重ね合わせることで、春の景色に包まれるような空気感を表現しました。淡いピンクを基調に紫を織り交ぜた色彩は、水面に揺れる花影や春霞を思わせるような柔らかな印象を与えています。幾重にも重なる花々によって奥行きを生み出し、視線が自然と流れる構成とすることで、川沿いを歩きながら桜を見上げるような広がりを感じられる作品に仕上げました。
ガラスならではの透明感と、加賀友禅の繊細な色の重なりが合わさることで、空間に軽やかな彩りを添え、訪れる人を優しく迎え入れるアプローチ空間を演出しています。また、桜には「新しい始まり」や「門出」を思わせる意味合いがあります。住まいへと続く空間に春の景色を重ねることで、これから始まる暮らしへの期待や、穏やかな日々への願いを込めました。

加賀友禅パネル「イチョウ」

ブックラウンジに設置したイチョウのパネルは、落ち着きのある空間に調和するよう制作しました。
横長の構成を活かし、広がるイチョウの葉をリズミカルに重ねることで、風に揺れる葉の流れや、やわらかく移ろう光の表情を表現しています。金彩を思わせるような黄色と、落ち着いたグレーの彩色を組み合わせることで、空間に程よい華やかさと静けさを生み出しました。細やかな線や模様を幾重にも重ねることで、近くで見る表情と、離れてみた時の印象が変化するよう構成しています。
また、本作はバックライトによって柔らかく照らされる仕様となっており、光を通すことでイチョウの彩色や模様が浮かび上がり、ブックラウンジ全体に温かみのある空気感を与えています。
イチョウは長い年月を生きる樹木として知られ、「調和」や「繁栄」を感じさせる存在でもあります。読書やくつろぎの時間に静かに寄り添いながら、穏やかに時を重ねていく空間への想いを込めています。

加賀友禅ガラスパネル「ブドウ」

エントランスホールに設置したブドウのガラスパネルは、レセプションカウンター背面の空間に合わせ、訪れる人をやわらかく迎え入れる作品として制作しました。
大きく伸びる蔓と、連なるブドウの実の流れを活かした構成によって、空間全体に広がりとリズム感を与えています。深みのある青や緑を基調とした葉の色彩に、淡い緑や柔らかな光色を重ねることで、落ち着きの中にも瑞々しさを感じられる表現としました。
バックには加賀友禅らしいぼかしや、光の輪をイメージするような表現を取り入れ、奥行きのある景色を構成しています。縦方向へ流れる線によって光や空気の流れを表現し、空間全体に透明感と軽やかさをもたらしています。
落ち着いた石の壁面や木目の質感の中に彩りを添えることで、エントランスホール全体に上質で穏やかな印象を与える空間演出となりました。
ブドウには、「豊かさ」や「実り」といった意味合いがあります。多くの実をつける姿から繁栄の象徴として親しまれており、人が行き交うエントランス空間にふさわしいモチーフとして取り入れました。訪れる方々を迎え入れ、暮らしの豊かさへと繋がっていくような想いをいを込めています。